一人呟いた後、コンは窓に手をかける

本当は窓を開けて、身体を乗り出して、出来るなら屋根に上って、少しでも彼に近づきたい

けれど、帰ってきた彼に何を言われるか分からないし、そもそも彼に風邪をひかせるつもりは毛頭な

い だから窓を開けずに待っている

彼が無事で帰ってくるのを

コンコン

ふいにドアがノックされ開いた

「よう」

入ってきた人物にコンは軽く目を見開く

普段のおちゃらけた様子とは正反対の顔で彼は部屋に入ってきた

家族にはけして見せることのない父親の顔

「アンタか」

おそらくコンしかしらない顔

「一護なら10分くらい前に行ったぜ」

「知ってる」

「じゃあ俺に何か用?」

首を傾げると、何故か一心も首を傾げた

「いや、別に用って訳じゃないんだがな」

「なんだよ」

歯切れの悪い一心にコンは眉間に皺を寄せた

「そんな顔してると一護みたいだぞ」

「……もともと一護の顔だっつーの」

その返事に一心は心外だというような顔をした

「何言ってやがる。顔は同じでも魂が違えば違うんだぞ。逆に言えば、違う顔でも同じ魂が入ればそれはそいつ自身だ」

意味が分からず首を傾げると、一心は指をたてた

「例えば、ウチの娘。二人の性格が正反対だったとしたら?」

と言われ、コンは素直に想像してみる

「……最悪」

特に妹のような姉

彼女にいい思い出がないコンは、どっちにしろ最悪なのには変わりない

「じゃなくて、遊子が夏梨のような性格だったとしても、最初からそうなら違和感はない。今急に入れ代わってしまっても、仕草や話し方、雰囲気は柚子のままだ」

「それならなんとか分かる」

だから、と一心は続ける

「たとえそれが作られていたとしても、お前はちゃんとコンっていうヒトだよ」

「……」

言葉が脳で理解する前に一心は部屋を出て行く

「じゃあ、一護のこと頼むわ」

「……はっ?」

ようやく理解したときには彼はもう居なかった

何故か顔が赤くなる

『お前の名前はコンな』

あのときのことを思い出す

一つのモノではなくて、ヒトと認めてくれた彼

その彼のために命を掛けようと誓った

そう、彼が守りたいと願う彼の家族の側で彼の代わりに側に居ようと

でも、それだけじゃない何かが胸に満ちた

「なんだか餌付けされてるみてぇ」

それだけ言って枕に顔を突っ伏した





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――――――
だからなんでコンがメインなのさ
しかも相手一心だし
心コンじゃないですよ!!
例題は「内なる虚のときの一護と、普段の一護」のほうが分かり易かったハズ
でも会ってないからね。これで
まだ続く
h20/2/15