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白黒逆転パラレル白哉編
「終わりだ。黒崎一護」
言葉とともに朽木白哉の千本桜が振り上げられる。
互角だと思っていた。勝てると思っていた。
けれど実力差は圧倒的で、目の前が黒く染まった。
――動け!!! 何のためにここまで来たんだ。
勝つためだ。勝つんだ、俺は…勝ちてぇ
振り下ろされる刀をただ、見つめるしかできなかった。
『ちっ』
頭の中で声が響いた。
意識が闇に沈んでいく。
ガッ
「なに」
命を奪うために振り下ろした刀を、素手で止められたことに白哉は目を見開く。
――霊圧が変わった、だと
一護を取り巻く霊圧が変わる。すべてを拒絶するような鋭いものから、すべてを包み込むようなものへと。
『…馬鹿が…言っただろうが。お前に死なれちゃこっちも困るってよ」
白い髪が、色素を思い出したかのように染まる。
鮮やかな、橙へ。
いっそ美しいと称せるほどの鮮やかさに、白哉は目を奪われた。
そして珍しい白の死覇装は見慣れた黒へ。
あらわれたのは普通の青年。
「莫迦な…何者だ貴様」
ようやく出た言葉は誰何。それに黒崎一護だった男は哂う。
『"何者だ"…? はっ、名前なんかねえよ』
圧倒的な霊圧がその場を制した。
一瞬の隙が命を削る。白哉の体を刀が走った。
血しぶきが白哉の身体を覆う。
『お前は俺が倒す』
霊圧がなければ、先ほどの男よりも人間味があった。
眼差しも、態度も柔らかいもので、先ほど白哉を切った時は悲しそうに見えた。
「貴様は、誰だ」
二度目の誰何。けれど答えはない。
『俺は、死神が嫌いだ。妹を思わない兄も嫌いだ』
月牙天衝、と言葉とともに見慣れた斬撃が飛ぶ。否、黒崎の禍々しい白い霊圧ではなく、美しい漆黒の黒。
けれど霊圧の違いは一目瞭然で、白哉は寒気を感じて避けた。
「この霊圧の感触、その仮面。貴様、虚か」
『さあな。知る必要は無いさ。あんたはこれで……』
――消えろ
男の動きが止まり、手が仮面へと触れた。
はがそうとするその手の動きを、言葉が止める。
『馬鹿野郎、お前が敵う相手か!! このまま俺に任せておけ!!』
まるで心配する言葉に、手はさらに力を込める。
『放せ……くそ!!』
バキンと音がして、仮面が割れた。
そして色は抜け落ちる。
橙の髪と黒い死覇装は、漂白されたように、白のそれへと変わる。
「悪ぃな。邪魔が入った」
姿に白哉は背筋の力が抜けるのを感じた。
それほど先ほどまでの男が恐ろしかった。
そして目の前の男の奇異さに言葉を噤んだ。
「さぁ、楽しもうじゃねえか」
この男はどうして楽しそうなのか。
どうしてあの男は泣きそうな顔をしていたのか。
それは誰にも解らない。
――――――
h22/2/22
こちらも一緒に頂いたリクです。
基本的に格好いい一護を書きたかったので、こんな感じです。
ありがとうございました。
これからもよろしくおねがいします。
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