上位の席官になると、何か特別な用事がない限り、正月などは優先して休みをもらえる。
今年は何事もなく終わり、一息つけた。
自室は昨日のうちに掃除をしていたので、生活感皆無な恋人の家へとやってきた。
いつも時間が会うと、自分の部屋にやってくるので、こうして彼の家にいくのはいつぶりだろうか。
仕事場のように散らかっていると思いきや、生活感皆無というのは何もなくても構わないということらしい。
部屋には人が生活する最低限のものしかなかった。
彼曰く、家に帰るのは寝るときだけらしい。
その言葉どおり、買ってきた夕食を食べ、風呂に入ってまったりすると思いきや、早々に布団に引きずり込まれた。
「喉、痛い」
「そりゃ、あれだけ喘げば痛いだろうな」
ポツリと呟くと、半身を起こして煙草を吸っていた彼は口の端を吊り上げた。
修兵は眉を寄せる。喘がせた本人がそういうか。
その顔にふと光がさした。
雲間からつきが顔をだしたのだ。
その月はもうすぐ中天に差し掛かろうとしていた。
まだ、日付は変わっていない。
だが、もう半刻もしないうちに年は越えるのだろう。
寝転んで月を見上げていた修兵は、ふと視線をずらした。
阿近がこっちを見ていた。
「何?」
「…いや、なにもねえ」
少し首を傾げると、阿近は首をふる。
月の光に照らされたのに見惚れた、などと言えるはずもない。
煙草を灰皿に押し付けて、阿近は修兵と同じように空を見上げた。
煙草を吸うために窓を開け放していたから少し、というか、かなり寒い。
寒い日は月が綺麗だとかいうけれど、それは本当のようだ。
寒い、と呟けば阿近は窓を閉めた。
再び布団にもぐりこんでくると、修兵を引き寄せる。
「阿近さんの腕が冷たいんですけど」
「そりゃあ悪かったな」
悪びれもなく言うと、悪戯を仕掛けるように冷たい手を擦り付けてきた。
冷たいな、と笑う。
しばらくじゃれていると、阿近の手がだんだんと暖かくなってくる。
俺に染まってくれればいいのに、と修兵は心の底で思う。
いつの間にか、阿近に組み敷かれていて、呆れたような修兵の顔と、楽しそうな阿近の顔が重なった。
月がゆっくりと中天を通過する。
けれどそれは二人には見えていない。
日付が、年がどれだけ変わっても二人一緒にいられますように。
――――――
あけましておめでとうございます。
お正月小説第二段。
阿修Ver.でした。
いかがでしたでしょうか。
もう少し違う展開を考えていたんですが、少しそれてる。
まあ、筋は一緒なんですが。
お正月問題の答え
@レギュラーメンバーです。
Aきょうだいがいます。→漢字で書くともろバレ。義兄妹、または姉妹
B芸術面は人並み以下です。
C尊敬する人がいます。→カイエンさん(ごめっ、漢字ド忘れ)
さて『私』は誰でしょう?→ルキアでした
h21.1.1