『君待つ時間』
時計の針が進む。
獄寺は時計を睨んでいたが、暫くしてため息を付いた。
次は携帯を開く。
センターに問い合わせをして、メールが入っていることを知ると、僅かに目元をほころばせる。
しかし、それはすぐに眉間の皺に阻まれた。
苛立ったように、ネイルもしていない綺麗で繊細な指で、小さな携帯を操作する。
それを終えると、腰掛けていたベットに寝転んだ。
夏から秋に移動する空は澄んでいて、綺麗なオレンジ色をしていた。
電気をつけていない部屋に入ってくるその光りをただぼうっと見ている。
制服のスカートが皺になるけれど、そんなことを気にしてはいなかった。
うとうとと瞼が重くなる。
眠りたいわけではなかったけれど、眠れば早く時間が過ぎるだろうか。
そう思って、重力に従い素直に目を閉じた。
「……やと、隼人ってば」
肩を揺さぶられて獄寺の意識は僅かに浮上する。
目の前に現れたのは、黒い瞳の男。
「やま、もと」
「隼人、寝るのはいいけど、風邪ひくのな」
布団被って、と山本は獄寺の身体を起こす。
「今何時?」
おきる、と呟いてから、獄寺は頭を覚醒しようと振った。
「六時半」
眠りに着く前から30分もたっていない。
握り締めていた携帯が、チカチカ光っているのに気づいて、獄寺はメールボックスを開けた。
【送信者:山本武
件名:無題
本文:今から行く!!】
獄寺が待っていたメールだった。
「獄寺、飯どーする? 親父がお中元で貰った素麺くれたんだけど」
「食べる」
少し皺になったスカートを手で直して、獄寺はキッチンに駆け込んだ。
――――――
山本を待っているときの獄寺。
口には出さないだろうけど、一日千秋の思いなんだと思います。
あ、メール相手はハルです。
ちなみにツナからメールが来ると、山本からじゃないってので落ち込んで、ツナからのメールに落ち込むなんて!! と携帯に向かって土下座するんですよ(笑)
あー、獄寺可愛い。
h21.9.2