むっつ!
好きだ、と。そう言われたのは高校三年生の秋も終わりだった。
夢だった甲子園に出場し、優勝は出来なかったけれど、そこそこいいところまでいって、プロに行くのか、と噂されたり、スカウトが来たりと忙しい二学期を送った後。
「大学に行ってほしいと思ったこともあったなぁ」
と親父が呟いていたのを聞いて、俺は大学進学を決めた。
<中略>
そして大学進学することが決まった九月のある日、俺は幼馴染の女の子にそう告白された。
「好きだ。俺はまだまだ子どもだけど、武を好きな気持ちは誰にも負けない」
俺の部屋で、目にいっぱいの涙を溜めて、でも決して涙を流すまいと歯を食いしばって俺に告白する。
まったく範疇のなかった幼馴染に告白されて、俺はうろたえるどころか、気の強い幼馴染がこんな表情するなんて久しぶりにみたなぁ、と呑気にそんなことを思っていた。