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「俺が空鶴様だ」
親指で自分をさした女性は自信を持ってそう答えた。
空鶴と名乗った女性の隣には一人の青年。
死神の服装をした青年の前に、夏梨を初め夜一でさえも警戒心を抱いた。
「こっちは俺の下僕の一護」
「誰が下僕だよ。毎回面倒事になる前にあっちの情報持ってくるの俺のおかげだろ」
死神の青年が苦笑して空鶴に訂正を入れる。
警戒していた夜一を見て、一護と呼ばれた青年は立ち上がった。
「初めまして夜一サン。俺は一護。朽木ルキアを助けるのに協力する」
「信用できるか?」
夜一が空鶴に視線を向け、それに空鶴は頷く。
「今護廷で起こってることも、夜一、お前がココに来た理由も一護から聞いた。俺は護廷の人間は信用しねえが、一護は信用する」
強い断言に、夜一は一護をじっとみた。
彼女がここまでいうのは珍しい。
「信じてみようかの」
「なら、さっそく作戦会議だ。護廷の状況はどうなってる」
善は急げ、と空鶴は周りに座るように促し、本題を切り出した
「どうって言われても、今は市丸がしたことに対して隊首会中だろうな。こっちが動く前に、向こうに動かれることはないはずだ
そうなの? と聞いた織姫に、一護は頷いた。
「向こうはお前たちの情報などないに等しい。目的は分かってるが、そのために何かすることもないだろう。朽木ルキアの件については上層部でも意見が分かれている」
「じゃあ、ルキアへの対応は……」
「朽木ルキアへは四十六室に決定権がある。判決は変わらない」
落胆した夏梨に、一護はただ、と続ける。
「その決定に違和感を持つ人間は必ず出てくる。そんな奴らに決意させる理由がお前たちになるかもしれない」
「俺は全力でお前たちをフォローする。思い切って行け」
一護はにっ、と笑うと周りの空気が和んだように感じた。
「じゃあ俺は先に行って待ってる。くれぐれも無茶はするな。夏梨」
立ち上がった一護は夏梨に目を向け、言い放った。
「お前はまだまだ発展途上だ。刀の声を聞け。真実を探れ。お前が要になる」
それだけ言うと、一護は颯爽と部屋を出て行った。
ほとんど一護が話、それを聞くだけだった。
けれど、口を挟めない雰囲気を持っていたのだから仕方がない。
同時に夏梨たちを助けようという思いが伝わってきた。
それにホッとした面々は、次に提示された空鶴からの指令に居住まいを正す。
「でも」
そう言ったのは一息ついたとき。
織姫の言葉に誰もが目を瞬かせる。
「どうして夏梨ちゃんとか、みんなの名前知ってたのかな」
その質問に答えられる人物はここにはいなかった。
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選択21
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