戻る


「お主、また来たのか」
白い白い部屋。
ルキアが一人で罪を悔やむその場所に、今日も客が来ていた。
「まぁな、お前が元気かなって思って」
オレンジ色の青年は、死神の監視を潜り抜け、ここまでやってくる。
監視があるはずなのに、決して見つからない。
だからルキアも最初に異変はなかったのか?と監視に聞いたきり、誰にも何も言わなかった。
たわいないことを話す。
自隊のこと、兄のこと、幼馴染のこと、今回の原因であった現世でのこと。
話すつもりはなかった。でも、何故だか話してしまった。
こいつなら大丈夫だ、そう思えたから。
「ルキア」
「お前、後悔してないか?」
罪を悔やむ場所であるこの場所で、ルキアは後悔していないかと尋ねられる。
ルキアは目を瞬かせて、笑った。
「後悔などしておらん。私はあの時、できるだけのことをした。それは正しいことだったと思っておる」
その言葉に相手も笑った。
柔らかい、優しい笑みだった。
「そっか。ありがとルキア」
立ち上がった青年は、ルキアに礼を述べて後ろを向いた。
「誰か来たな」
礼の理由を聞こうとしたルキアはその言葉に思考はとまる。
「お前、朽木白哉をどう思ってる?」
「どうって、素晴らしい人だ」
「妹を捨てる兄が、素晴らしいか?」
その台詞にルキアは一瞬口ごもった。
「私は本当の妹ではない」
「それでも、妹として引き取ったからには、兄として妹を護る義務がある。俺はそう思ってる」
「お主、兄を知っているのか?」
ルキアの台詞には答えずに、青年は踵を返す。
「ルキア。俺はお前を助けるから。諦めるな」
それだけを次げて、青年は去っていく。
「待て、…っ」
ルキアは呼び止めようとして気づく。
青年の名前を知らないことに。



――――――
選択24

h22/3/6
戻る
            R