白黒一護逆転パラレル1
失ったショックで髪は白く染まり、眠らない脳内は沸騰しているように熱く、しかし冷静に回りを見ていた。
目はランランと輝き、誰も傍に近づこうとはしなかったのに。

「お兄ちゃん!! 行かないで」
「お兄!! しっかりしなよ」

いくら突き放しても妹たちは俺の手を離そうとはしなかった。
親父は何も言わず、ただあやすように背を撫でた。
そうして俺はようやく我にかえった。

「なに…。してんだ、俺」

涙がこぼれて、俺はそのまま意識を失った。
母をなくして四日目。
俺はようやく眠りについた。


====


高校に進学して、中学のころよりも目を付けられまくった。
ま、白髪で、目つきが悪くて、喧嘩っぱやくて、素行も悪い。成績は何もしなくても上位にいたのが不思議がられるが、それなりに自由に過ごしてきた。
しかし、死神だと名乗る女の所為で俺の生活は一変。
まあ日常のストレスを発散するのに、虚という存在は勝手が良かったのは確かだが。
ただ女が違反したとか何とかで、俺にまで追っ手に襲われたのは腹が立つ。
誰が苦しもうが、誰が死のうが関係ないと思っていた俺には女が連れて行かれてもどうにも思わなかった。
ただ、日常に戻れないようにしたのはテメエらだ。きっちり責任を取ってもらおうと、いけすかねえ下駄帽子のもとで死神の力を取り戻した。まったく強欲商人とはよく言ったものだぜ。


そしてたどり着いた死神の世界。
面白いことにクラスメイトが三人ついてきた。
女は死神が心配で、変にプライドが高い男は…理由は忘れた。チャドは俺が心配なんだと。はっ、お前に心配されるようならおしまいだぜ。
でもまぁ、悪くはないとか思ってしまったのはどういうことか。
で、何がどうなったか分かんねえ。
楽しかったのは覚えている。弱い相手じゃねえ。自分が全力を出して、出し切って、それで勝ったときの爽快感。身体がゾワリと歓喜に震えた。
が、それもそこまで。変な大男と戦闘になって、ものすげえ力で押されて、気がついたら刀が俺に突き刺さっていた。
そこで脳裏に過ぎったのは、幼い頃死別した母親の姿。
あの時のことは今でもよく覚えていて、そして同時に思い出せない記憶。
その存在を失うまでは、自分は明るく、素直ないい子供だったという。
その後は誰も傍に寄せることはなく、文字通り独りで過ごしてきた。
なんでこんなときにそんなことを思い出すんだろうか。走馬灯?まさかな。



「テメエ誰だ」

前にも来たことがある縦横無視の白い世界。
気がついたらここにいた。
その場にいるのは白い髪、青白いと言われるほどの肌を持つ俺と、真っ黒い姿の残月。そして――、

『俺はお前だよ』

そう言って笑う一人の男。
この世界に空以外に色があったのか、と思った。
その色はこの世界にはひどく不釣合いで、俺とよく似た顔の男は俺とまったく違う笑顔で笑った。

まるで、太陽と錯覚しそうな色彩を携えて





2
―――――――
h20/10/16日記
h21/2/4転記