泣きに泣いて、うとうとしていると、低い声が耳元で囁いた
「眠れ」
――ネムレ
「ここにいてやるから」
――ココニイテヤルカラ
昔同じことを言われた
ああ、やっぱり忘れられない
「……なんで」
なんでこんなことになったんだろう
星屑W
暖かい
そう思って目を開けると、視界は白かった
何かが乗っているんだと気づいて取ってみると、それは濡れた手ぬぐいで
視線に気づいて上目遣いに見ると、鬼がじっとこっちを見おろしている
「あっ…さん」
声をかけるが泣いたせいか、掠れた声しか出なかった
彼がそれに気づくと顔を寄せてきた
何をされるのか分かったが、拒むことなくそれを受け入れる
さっきとは違い優しく口付けられ、冷たい水が喉を潤していく
そっと、離されると俺は謝罪ではなく、感謝を口にする
「……ありがとう」
ただそういうと彼は眉間に皺を寄せる
「そう思うなら俺の膝からどけ」
そう言われて初めて彼の膝を枕にしていることに気づく
「あっ、ごめん」
慌てて頭をどけると、彼はため息をついた
「何?」
「別に」
疑問を投げかけると、あしらわれる
「お前結構泣き虫な」
頬に手を伸ばされて、目元を拭われた
目からは未だに涙が流れている
「あは、最悪」
添えられている手から身体を捻って逃れると、今度は腕を掴まれた
引き寄せられ、目元に口付けされる
生暖かい舌が目尻をなぞり涙をなめ取っていく
その感触に身震いした
それに気を良くしたのか、くすりと笑うのが伝わってくる
「なんっ……」
で笑うんだ、と言いたかったのにその言葉は彼の口の中でくぐもった
「……ふっ……ん」
ヌルリと口腔に入ってきた舌を、唇を開いて受け入れてしまう
最初のよりももっと深い口付けになす術もなく思考を奪われた
「…ん…っ……」
口腔を舌で掻き回される感触に体を震わせる
絡め取られた舌を強く吸われ、唾液を送り込まれ、深く深く侵略して熱が身体を支配し始めた
「……んぁ……はっ」
涙はまだ頬を流れていて、彼はもう一度両目に口付ける
そのまま耳に舌を沿わせられて、背筋にぞくりと快感が駆け抜けた
彼が身体を離してにやりと笑う
「来い」
ここまで好き勝手にやって、それはないだろう
身体の熱はもう引き返せないほどに高ぶっている
手が、体が無意識に強張る
――コイ
駄目だと分かっていても、彼と重ねてしまう
けれど、彼の隣は埋まった
忘れなければならない
でも、忘れることなどできない
目の前の彼はそれを知っているのかいないのか
ただ笑っているだけ
「最悪」
それだけを呟いて自ら彼に口付けた
彼は哂い深く受け入れる
離したところで耳元で囁く
低い声が耳に叩き込まれた
「明日の朝までは忘れさせてやる」
目を閉じて、脳裏から彼を追い出し、そして与えられる快楽に身をゆだねた
next――――――
まだくっつきません
ちなみに裏にも行きません
私にしては頑張った
h20/3/13 25微妙に修正