「一護、これ十番隊にまわしてくれ」
「あっ、ついでにこっちも頼むわ。六番隊な」
次々と腕に書類が載せられていき、内心うざいと思ったが、「了解」とだけ言い隊舎から出ていく
「失礼します。一番隊の一護です。書類をお持ちしました」
六番隊の隊長室前で声を上げると、中から扉が開く
「こんちわ」
軽く頭を下げると、六番隊隊長朽木白哉はうなづき、腕に抱えた書類の束にため息をついた
「それはすべて六番隊への書類か?」
「ああ、違いますよ。ほかの隊のもあります。押し付けられたんですよ」
眉間にしわを寄せて答えると、そうか、と呟いて一護を中へと促す
示された机の上にひとまず書類をおくと、六番隊への書類を取り出した
「隊長、ただいま戻りました」
がらりと扉を開けて入ってきたのは、副隊長の阿散井恋次
一護の姿と書類の束を見ると、とたんに嫌そうな顔をする
「もしかして、それ全部か?」
本当に嫌そうな顔に一護は苦笑しながら否定した
「違いますよ。これとこれと、こっからここまで、これだけです」
これだけ、そういって差し出した書類の束は軽く十センチはありそうだ
苦虫を噛み潰した顔のままそれを受け取る
「まぁ、そんくらいならまだ大丈夫だけど」
「阿散井副隊長は、副隊長職について短いですから大変でしょう」
頑張ってくださいと言われ、おう、と力なく返事をした
「そういや、あんた見たことない顔だな」
首を傾げる恋次に一護は名を名乗る
「一番隊隊員の一護です。どうぞよろしく」
頭を下げる一護に恋次も反射で頭を下げた
「一護」
机について書類の束をまとめていた白哉が声をかける
「はい」
振り返って答えた一護に書類を指す
「九番隊に行くが……」
それだけで一護には伝わったようだ
ぱっと顔を輝かせて書類をめくる
「ありがとうございます!! 俺、あそこの隊長と面識ないんで行き難いんですよね」
これお願いします、といって数枚の書類を白夜に渡した
それを受け取り白哉は扉へ足をむける
「恋次、それを片付けておけ」
仕事の指示も忘れずに部屋を出て行った
「お願いします」
頭を下げる一護とは裏腹に、恋次はポカンと見送る
「どうかしました? 阿散井副隊長?」
「おま……えっ?」
プライドの高いあの朽木白哉が他人の書類を持っていったことにたいして混乱していた
「朽木隊長とどんな関係なんだって言いたいんですか?」
聞いてみると、こくこくとうなづかれる
「う〜ん。特に関係があるわけでもないんですけど、護廷に入ったとき上司だったことくらいですかね」
さらりと言ってのけた一護に恋次は尊敬の念を抱いた
「すげぇ」
それじゃぁ、と言ってまた大量の書類を抱え一護は出て行く
恋次はそれを見送ったが、はたとわれに返った
「えっ、隊長の先輩ってことは、あの顔で隊長より死神暦長いってことだよな」
童顔の顔を思い出し呟いた
「マジかよ」
「いらっしゃいませ、三名様ですね。こちらへどうぞ」
居酒屋に立ち寄り店員に勧められた席は店の端
その隣に目立つオレンジ色の髪を見つけて、思わず声をかけた
Which?「あれ、あんた」or「あの、すみません」
――――――
選択小説C
恋次との顔合わせ
h20/2/19