「あれ、めずらしい修兵じゃん」
仕事を早々に終わらせて、ずっと避けていた霊圧の持ち主のところへ歩み寄った
「……少し、いいですか?」
「どうかしたか?」
うつむいている俺に心配そうに話しかけてくる
「話が、あるんです」
優しい人よ、俺に勇気をください
星屑Z
「で、話って?」
仕事の時間はとうに過ぎていて、あたりに人影はない
彼は黙って俺について来る
それでも念のためいつも人が少ない場所まで移動すると、彼が口火を切った
――パンッ
乾いた音が響き、壁が鈍い音を立てた
性格には彼の背中と壁がぶつかって音が出た
原因は俺が彼の頬を平手打ちして壁に叩きつけたから
「しゅうへ」
「あんたさ、俺を馬鹿にしてんの?」
言葉を遮って見上げる
胸倉を掴み上げたはいいが、如何せん彼のほうが背が高い
見上げてしまうのも致し方ないだろう
「何を!?」
「最低だね。ずっと『修』って呼んでくれたらこうまで想わなかったのに」
「だから、意味が」
「誰よりもあんたの近くにいたと思ってた。なのにあんたは別れさえ言わずに俺を拒絶した」
呼び方が変わったとき、拒絶されたように感じた
何も言わずに、言わせてくれずにただ拒絶した
「おかげで終わろうとして、終われなかった。あんたは最低最悪なオトコだ」
そのまま有無を言わさず口付ける
反応する暇を与えずに離す
「好きだった」
その目が見開かれる
「愛してました」
睦言のように甘く囁く
「さようなら」
愛しい人よ
「海燕さん」
誰もが魅せられるような微笑みを浮かべて
「あんたなんて大っ嫌い」
唖然とした彼を置いて颯爽とその場を去った
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――――――
次が最終話〜
修兵に平手打ち+笑顔で別れを告げさせたかったんだけど、なぜか泣き崩れてしまったVer.
はこちら
h20/4/5